これまでに読んだ小説の中で本当に面白かったのはコレ

十三年目の殺人 パトリシア・マクドナルド

十三年目の殺人 パトリシア・マクドナルド十三年目の殺人(1984) パトリシア・マクドナルド

(ストーリー)
本国アメリカでは作品がたくさんドラマ化 されている作家なのだが、
日本ではほとんど無名に近い。
しかし、無実の罪を着せられた女性の恐怖を描いた
このデビュー作は徹夜級の面白ミステリー。

(感想)
無実の罪で十二年ものあいだ服役していた女性が主人公。
やっと出所することになったが、すでに彼女も32歳になっていた。

物語はここから始まる。
前科を隠しながら、他人の目を気にするばかりの日々がスタートする。
序盤は、なんとか生活を成り立たせようと健気に頑張る主人公の奮闘が描かれ、
彼女の新生活の成功を願わずにはおれない。

再出発の地に選んだのは、小さな離島。
自分を知る人もおらず、縁もゆかりももない町で暮らすことで、
忌まわしい過去を断ち切ろうとする。

パトリシア・マクドナルドにとってのデビュー作であるこの十三年目の殺人は
けっこうヒットして賞の候補などにも挙がったのだが、その理由は
興味深い物語設定と、巧みな序盤の展開にある。

ただ32歳の女性が離島にやって来て暮らし始めても、
たいして読者の興味をひかない。
そこへくるとこの主人公はたくさんのハンデを抱えている。
ただ新生活を描写していくだけでもサバイバル的な緊張感が生まれてくるのだ。

物語の方向性がはっきりしているだけに、
彼女の行動には説得力があり、どれも共感できる。

出会った人たちに好かれたいと思う彼女の気持ちや、
新しく働きはじめた職場でまわりの人たちと上手くやろうという気持ちなどが、
すんなりと読者の心に入ってくる。
主人公が人に嫌われたり、コミュニケーションに失敗したりすると、
読者の方も悲しい気持ちになり、彼女の成功や失敗に一喜一憂することになる。

やがて物語は謎の男の登場で、
謎とサスペンスが交差するハラハラドキドキの展開へと発展していく。

日本での知名度が低すぎるパトリシア・マクドナルドだが、
この作品を読むと本国での評価が正当であることを強く感じる。


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